障害基礎年金の受給資格

国民年金の被保険者または被保険者だった人が、事故や病気で身体または精神に障害が残ってしまった場合に支給される年金です。残った障害には、その程度に応じて障害等級1級と障害等級2級とに分類され、支給される年金額も異なります。また、被保険者に「子」がいる場合は人数に応じた加算が行われます。

老齢基礎年金は受給権者が死亡するまで支給されますが、障害基礎年金は、障害が軽くなることも重くなることもあるため、支給が停止されたり、年金額が減額あるいは増額されたりします。

支給要件

障害基礎年金の支給要件

一般的な障害基礎年金が支給される要件として、次の3点が問われます。

  • 初診日に被保険者等であったか
  • 障害認定日において障害等級に該当しているか
  • 保険料を納付しているか
初診日
まず、被保険者であれば要件に該当します。このとき年齢は問われていませんから、任意加入の64歳や特例任意加入の69歳でも問題ありません。次に、国民年金の被保険者は原則として、20歳以上60歳未満ですから60歳になれば国民年金から脱退しなければなりませんが、被保険者であった人で、日本国内に住所を有している60歳以上65歳未満の人であれば、現に被保険者でなくても要件を満たします。
障害認定日
障害認定日とは、初診日から1年6ヶ月を経過した日もしくはその間に病気やケガが治った日をいいます。また、病気やケガが治っていませんが、症状が固定し治療の効果が期待できない状態に至った日も障害認定日とされます。この障害認定日において、障害等級の1級または2級に該当していれば、要件を満たします。これには当然、医師または歯科医師の診断書が必要です。
保険料納付
国民年金法第30条第1項には、保険料納付要件を次のように記しています。
「当該傷病に係る初診日の前日において、当該初診日の属する月の前々月までに被保険者期間があり、かつ、当該被保険者期間に係る保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が当該被保険者期間の3分の2に満たないときは、この限りでない(=支給しない)。」
ここで気になるのが、初診日の前日においてという文句です。国民年金の保険料は翌月の末日までに納付すればよいとされています。例えば、3月分の保険料は4月30日までに納付すればよいわけです。ところが、5月1日に初診日がある人で、3月分の保険料を納付していなかった場合は、5月の前々月、つまり3月分は未納ということになります。そこで、あわてて初診日に3月分の保険料を納付しても、この「初診日の前日において」という文句があるために、前々月分は納付扱いにされないというわけです。
また、保険料納付済期間と保険料免除期間とを合計した期間が、被保険者期間の3分の2に満たないときは要件を満たさない、と記されていますが、これは結局、合計期間が3分の2以上あればよいということです。そして裏を返せば、未納期間が3分の1あってもよいとも言えます。
この保険料納付要件には経過措置があって、平成38年4月1日より前(=平成38年3月31日まで)に初診日がある人は、初診日の前日において、初診日の属する月の前々月までの1年間に保険料の未納期間がなければ、要件を満たしたとされます。ただし、初診日において、65歳以上の人には適用されないので注意してください。

たとえば、20歳になって国民年金に加入しましたが、20歳になった1週間後に事故によって障害等級1級に該当する障害が残ってしまいました。保険料は納付していませんしもちろん初診日の前々月には被保険者でもありませんでした。この人は障害基礎年金は支給されないのでしょうか?
条文をよく見ると、「初診日の属する月の前々月までに被保険者期間があり、かつ、当該被保険者期間に係る保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が当該被保険者期間の3分の2に満たないときは・・・」とあります。つまり、被保険者期間がある人に対しての保険料納付要件なのです。被保険者期間がない人に対しては、初診日要件と障害認定日要件の2点で支給するかどうかの判定となります。
最悪のケースは、3月生まれで20歳の5月1日に初診日がある人で3月分の保険料を納付していない場合です。このケースは、被保険者期間が3月、4月とあるため5月の前々月、つまり3月だけで保険料納付要件を満たしているかどうかで判定されてしまいます。このとき未納であると保険料納付要件が満たされないことになり、障害基礎年金は支給されません。保険料が払えないときは、ぜひ免除申請をして未納期間を作らないようにしてください。

事後重症による障害基礎年金の支給要件

事後重症

障害認定日において、初診日要件、保険料納付要件は満たしているが障害等級が2級より軽い障害だったが、その後状態が悪化して1級または2級に該当した場合も、障害基礎年金の支給を請求できます。ただし、その請求は、65歳に達する日の前日(誕生日の前々日)までにしなければなりません。この障害基礎年金と同一の事由で3級の障害厚生年金または障害共済年金の受給権者だった人が、1級または2級に年金額の改定が行われた場合は、障害基礎年金の請求があったものとみなされます。

基準傷病に基づく障害による障害基礎年金の支給要件

基準傷病

すでに障害(障害等級1級、2級には該当しない障害)のある人が、基準となる傷病による障害(基準障害といい、障害等級1級、2級には該当しない障害)が残り、既存の障害と基準障害とを併合した場合、基準傷病の障害認定日から65歳に達する日の前日(誕生日の前々日)までに、障害等級に該当すれば障害基礎年金が支給されます。

この基準傷病に基づく障害による障害基礎年金の請求は、事後重症による障害基礎年金の請求とは違い、65歳以降でも行えます。
基準傷病以外の傷病が2以上ある場合は、基準傷病の初診日が基準傷病以外のすべての傷病の初診日以降にあることが必要です。また、初診日要件、保険料納付要件は基準傷病の初診日で判定されます。

経過措置による障害基礎年金の支給要件

経過措置

平成6年の法改正前は障害の程度が障害等級に該当しなくなり、3年以内に再び障害等級に該当しなければ失権していました。法改正後、障害等級に該当しなくなって3年が経過しても65歳になるまでは、障害基礎年金を支給することになりました。そこで、平成6年11月8日以前に障害基礎年金、障害厚生年金、障害共済年金、旧国民年金の障害年金、旧厚生年金の障害年金の受給権を有したことがあり、平成6年11月8日以前に失権した人に救済措置がとられました。

図の上は、平成6年11月9日時点で障害等級に該当していた人で、平成6年11月9日から65歳になる日の前日までの間に障害基礎年金を請求できることを表しています。下の図は、平成6年11月9日時点で障害等級に該当していなかった人で、平成6年11月9日から65歳になる日の前日までの間に障害等級に該当すれば、障害基礎年金を請求できることを表しています。

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