障害厚生年金の年金額

障害厚生年金の年金額は、障害基礎年金額のように初診日要件、障害認定日要件、保険料納付要件を満たせば一律の年金額が(もちろん障害等級によって年金額は違いますが)支給される、ということはなく、老齢厚生年金と同じような報酬比例の考え方で算出されます。
また、加算額においても、障害基礎年金では「子」に対して加算されますが、障害厚生年金では「配偶者」に対して加算が行われます。
年金額、加算額とも障害基礎年金とは異なった部分が多いので、障害基礎年金と併給される場合は要件等注意が必要です。

障害厚生年金額の算出

障害厚生年金額

基本的に障害厚生年金額の算出は、老齢厚生年金の計算式を用います。ただし、老齢厚生年金では昭和21年4月1日以前生まれの人に関して、支給率の読み替えがありましたが、障害厚生年金では読み替えはありません。また、被保険者期間の月数については、老齢厚生年金では実月数で計算されましたが、障害厚生年金では最低保障の月数が300月と定められています。さらに、老齢厚生年金は被保険者であるときに受給権者となった場合、退職改定などで受給権取得後の被保険者期間が算入されましたが、障害厚生年金では障害認定日の属する月後の被保険者期間は算入されません
計算式で算出された合計額は、障害等級3級の年金額(加給年金額の加算はありません)となり、2級の人にはその額に加給年金額が加算され、1級の人には3級の年金額の1.25倍の年金額と加給年金額が加算されます。
同一の障害で、障害基礎年金を受給できない障害厚生年金の受給権者()は、障害厚生年金額を計算した結果、障害基礎年金額(障害等級2級の障害基礎年金で、子の加算を含まない額)の4分の3に満たない場合は、その額を障害厚生年金額とします。

障害基礎年金が支給されない場合
障害基礎年金を受給できない障害厚生年金の受給権者とは
障害等級3級の厚生年金の受給権者には、障害基礎年金は支給されません。(障害基礎年金は障害等級1,2級の場合に支給)また、右図のように、障害基礎年金の初診日要件は被保険者であるときか、被保険者であった国内在住の60歳以上65歳未満の人であることが必要なので、65歳~70歳の間に初診日があるときは、障害基礎年金の初診日要件は満たしていません。しかし、厚生年金の被保険者であるので障害厚生年金しか支給されないわけです。

加給年金額

障害厚生年金と加算額

障害等級1,2級に該当する人には、障害厚生年金の受給権を取得した当時、生計を維持していた65歳未満の配偶者がいるときは加給年金額が加算されます。ただし、大正15年4月1日以前生まれの配偶者に関しては、年齢制限がありません。
加給年金額は、配偶者が被保険者期間240月以上の老齢厚生年金を受けることができるとき、障害厚生年金(1,2,3級)、障害基礎年金、その他老齢もしくは障害を支給事由とした共済年金等を受けることができるときは、その間、支給が停止されます。

障害厚生年金額の改定

障害厚生年金の年金額改定は、厚生労働大臣の職権による改定と、受給権者からの請求による改定があります。ここでは、受給権者からの改定請求について説明します。

障害厚生年金の受給権者は、次のタイミングで障害の程度が増進したことによる年金額の改定を厚生労働大臣に請求できます。

  1. 障害厚生年金の受給権を取得して1年を経過した日後
  2. 厚生労働大臣の診査を受けた日から1年を経過した日後

しかし、次に該当する人は改定の請求をすることができません。

  1. 65歳以上のもともと障害等級3級の障害厚生年金の受給権者
  2. 老齢基礎年金の繰り上げ支給を受けているもともと障害等級3級の障害厚生年金の受給権者(老齢基礎年金の繰上げをすると65歳とみなされます。)

もともと障害等級3級の障害厚生年金の受給権者とは?

障害認定日において3級と診査された人で、最初は1,2級だった人が障害の程度が軽減して3級になった人とは区別します。もともと3級の人は国民年金の障害基礎年金の受給権が発生していないので、障害厚生年金1,2級と障害基礎年金1,2級は連動して支給されるしくみ上、65歳以上では障害基礎年金の事後重症による改定ができないためです。

併合改定請求

併合改定請求

障害厚生年金の受給権者(もともと3級の人は除く)に新たな障害が発生し、その障害が障害等級3級以下の状態にあり、新たな障害の障害認定日以後65歳に達する日の前日までに、既存障害とその他障害を併合した障害の程度が、既存障害の程度より増進したときはその期間内に改定請求ができます。ただし、その他障害について、初診日要件、保険料納付要件を満たしていることが必要です。

上記の条件に当てはまるケースは、障害等級2級の障害厚生年金の受給権者が、新たな障害(障害等級3級以下)の状態になったとき、既存の障害と新たな障害とを併合して1級に増進した場合(右図上)、既存障害の程度が軽減して3級の状態になっていた障害厚生年金の受給権者が、新たな障害(障害等級3級以下)の状態になったとき、既存の障害と新たな障害とを併合して2級に増進した場合(右図下)の2種類です。

障害基礎年金等との併合による改定

障害基礎年金との併合

障害厚生年金と障害基礎年金を受給している人が、退職等で厚生年金の被保険者でなくなり国民年金の被保険者であるときに、新たな障害が発生して既存の障害と併合した障害の程度が既存障害より増進した場合、障害厚生年金の障害等級も障害基礎年金の障害等級にあわせて改定されます。

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