支給停止等
障害厚生年金が支給停止されるのは、労働基準法第77条の規定による障害補償を受ける権利を取得した場合と障害共済年金との調整による場合、障害の程度による場合があります。
労働基準法第77条の規定による障害厚生年金の支給停止
労働基準法には、労働者が業務上負傷し、または疾病に罹り、治った場合において、その身体に障害が存するときは、使用者は、その障害の程度の応じて、平均賃金に別表2に定める日数(最高1,340日分(第1級)から最低50日分(第14級)の14等級に区分されています。)を乗じて得た金額の障害補償を行わなければならない、と規定されています。
この規定では、使用者は支払能力のあることを証明し、補償を受けるべき者の同意を得た場合は、平均賃金に別表3に定める日数を乗じて得た金額を、6年間に渡り毎年補償することができるとされています。
この労働基準法第77条の規定によって障害補償を受ける6年間は障害厚生年金は支給が停止されます。
障害共済年金との調整による支給停止
障害等級1,2級に該当する障害厚生年金の受給権者が、会社員から公務員になった後に障害共済年金の受給権(障害等級1,2級に限る)を取得したような場合は、障害基礎年金の併合認定および併合による障害厚生年金と障害共済年金の額の改定が行われ、前後の障害の程度を併合した障害の程度による障害基礎年金、障害厚生年金、障害共済年金が同一の支給事由により支給されることになり、併給調整の規定が適用されなくなります
そこで、厚生年金保険法では障害厚生年金の受給権者(初めから3級以下の障害は除く)が障害厚生年金と同一の支給事由に基づく障害共済年金の受給権を有するときは、その間支給が停止されます。この場合、受給権者は解除申請を行うことで、障害厚生年金と障害基礎年金、障害共済年金と障害基礎年金のどちらかを選択することになります。
障害の程度による障害厚生年金の支給停止
原則として、障害厚生年金は障害等級(1,2,3級)に該当しなくなったら、その間支給が停止されます。
ただし、受給権者が次の要件に全て該当したとき、支給停止は解除されます。
- 疾病に罹り、または負傷し、かつその傷病にかかる初診日において被保険者であり、かつその前日において保険料納付要件を満たしていること
- その傷病によりその他障害の状態にあり、かつその傷病にかかる障害認定日以後65歳に達する日の前日までの間に、障害厚生年金の支給事由となった障害とその他障害とを併合した障害の程度が障害等級1級または2級に該当すること