支払の調整(労災保険)

労災保険の障害(補償)年金が支給されることとなった業務または通勤災害で、厚生年金保険の障害厚生年金や国民年金の障害基礎年金が同時に支払われる場合があります。その際には、労災保険の障害(補償)年金の年金額が定められた率で減額されます。

年金間の調整

併給される年金障害厚生年金障害基礎年金障害厚生年金と障害基礎年金
障害(補償)年金の減額率0.830.880.73

国民年金法に規定による20歳前傷病による障害基礎年金については、労災保険の障害(補償)年金を受給するときは支給停止となるので、障害(補償)年金との併給調整はありません。

障害(補償)年金と障害厚生年金や障害基礎年金あるいはその両方を受給できる際は上記の減額率で労災の障害(補償)年金が減額されますが、減額された年金額と他の年金額とを合計した額が本来の労災の障害(補償)年金の額を下回る場合は、合計額が本来の年金額になるように引き上げられます。

同一の事由で共済組合等から障害共済年金が支給される場合は、労災の障害(補償)年金の減額調整は行われません。

障害(補償)年金の受給権者が障害厚生年金や障害基礎年金から老齢厚生年金、老齢基礎年金を受給する選択をすれば労災の障害(補償)年金の減額はありません。

一時金間の調整

障害(補償)一時金と厚生年金保険の障害手当金が併給される場合は、障害(補償)一時金が全額支給され、障害手当金は支給されません。

第三者の行為による事故

第三者行為

業務災害や通勤災害が第三者の故意や過失によって生じた場合は、被災労働者は労災保険の給付請求権を持つと同時に第三者に対して損害賠償請求権を持つことになります。この場合、両方の請求権を行使させると損害が二重に填補されることになるので、調整の対象となります。

第三者の行為によって生じた事故で、保険給付をしたときはその給付の価額の限度で、保険給付を受けた者が第三者に対して有する損害賠償請求権を取得することになります。図でいえば、赤い矢印が受給権者から保険者へ移動した状態が前述のケースです。これを損害賠償請求権の代位取得といいます。逆に、保険給付を受けるべき被災労働者が第三者から同一の事由で損害賠償を受けたときには、その価額の限度で保険給付をしないことができるとされています。労災保険は、被災労働者の傷病について行うものなので、損害賠償として受けた慰謝料、見舞金等の額は調整の対象とはなりません。

サブコンテンツ

売れ筋ランキング

このページの先頭へ