労災保険の併合、加重

同一の傷病で身体障害が2以上ある時は原則として重い方の身体障害の該当する障害等級となりますが、14級の身体障害がある場合に適用されます。13級以上の身体障害が2以上ある場合は、併合した等級を繰り上げます。

また、すでに身体障害があった者が業務災害あるいは通勤災害で同一部位について障害の程度をさらに重くした場合にも等級の変更が成されます。

併合と併合繰り上げ

同一傷病で身体障害が2以上残った場合、重い方を障害等級としますが、併合繰り上げという制度があるため、併合の適用を受けるのは14級の障害が残った場合だけです。

複数ある障害が13級以上である場合は一番重い障害の等級を1級繰り上げます。また、複数ある障害が8級以上である場合は一番重い障害の等級を2級繰り上げます。さらに、複数ある障害が5級以上である場合は一番重い障害の等級を3級繰り上げます。ただし、9級と13級の組み合わせは本来であれば両方とも13級以上なので重い方の9級を8級に繰り上げるところですが、9級の障害(補償)一時金額は給付基礎日額の391日分で、13級は同じく101日分ですから、8級の給付基礎日額503日分が9級と13級の合計492日分を超えてしまうため、この組み合わせのみ併合繰り上げせず合計日数が支給されます。

加重

既に身体障害(業務上または通勤によるものであるかは問わない)のあった者が、業務災害または通勤災害により、同一の部位について障害を更に重くすることを加重といいます。

既障害、新障害ともに7級以上あるいは8級以下の場合

ともに障害(補償)年金を受給できる7級以上であれば、新障害の等級で支給される給付基礎日額の日数から既障害の等級で支給される給付基礎日額の日数を差し引いた日数分の給付基礎日額が年金として支給されます。

ともに障害(補償)一時金の受給となる8級以下であれば、年金と同様に新障害の等級で支給される給付基礎日額の日数から既障害の等級で支給される給付基礎日額の日数を差し引いた日数分の給付基礎日額が一時金として支給されます。

既障害は8級以下、新障害は7級以上となる場合

新障害の等級で支給される給付基礎日額の日数から既障害の等級で支給される給付基礎日額の日数の25分の1を差し引いた日数分が年金として支給されます。

障害等級の変更

障害が時間の経過で自然に重くなったり軽くなったりします。障害の変更が1級から7級の範囲であれば、変更があった月の翌月から新たな障害等級に応じた年金額が支給されます。障害の変更が8級以下に及ぶ場合は障害(補償)年金の受給権が消滅するので、変更があった月分で年金支給は終了し、新たな等級に応じた一時金が支給されます。

最初から一時金の対象である8級以下の場合は、時間経過による障害の変更があったとしても変更による新たな障害(補償)給付はありません。

再発

障害(補償)年金の受給権者の負傷または疾病が再発した場合は次のようになります。

  1. 従前の障害(補償)年金の支給は、その月分をもって打ち切られる。
  2. 再発による療養の期間中は、療養(補償)給付等(詳しくは「知っ得!労災保険」をご覧ください。)が支給される。
  3. 再治癒後残った障害については、治癒後の新たな障害等級に応じた年金または一時金が支給される。

障害(補償)一時金を受給した者の傷病が再発し、再治癒後残った同一部位の障害の程度が以前の障害の程度より悪化したときは、「加重」の取扱いとなり、差額支給が行われます。

障害の程度と障害等級

障害等級障害の程度
第1級1.両眼が失明したもの
2.咀嚼及び言語の機能を廃したもの
3.神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し常に介護を要するもの
4.胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し常に介護を要するもの
5.削除
6.両上肢を肘関節以上で失ったもの
7.両上肢の用を全廃したもの
8.両下肢を膝関節以上で失ったもの
9.両下肢の用を全廃したもの
第2級1.1眼が失明し他眼の視力が0.02以下になったもの
2.両眼の視力が0.02以下になったもの
2-2.神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し随時介護を要するもの
2-3.胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し随時介護を要するもの
3.両上肢を腕関節以上で失ったもの
4.両下肢を足関節以上で失ったもの
第3級1.1眼が失明し他眼の視力が0.06以下になったもの
2.咀嚼又は言語の機能を廃したもの
3.神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し終身労務に服することができないもの
4.胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し終身労務に服することができないもの
5.10指を失ったもの
第4級1.両眼の視力が0.06以下になったもの
2.咀嚼及び言語の機能に著しい障害を残すもの
3.両耳を全く聾したもの
4.1上肢を肘関節以上で失ったもの
5.1下肢を膝関節以上で失ったもの
6.10指の用を廃したもの
7.両足をリスフラン関節以上で失ったもの
第5級1.1眼が失明し他眼の視力が0.1以下になったもの
1-2.神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し特に軽易な労務の外服することができないもの
1-3.胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し特に軽易な労務の外服することができないもの
2.1上肢を腕関節以上で失ったもの
3.1下肢を足関節以上で失ったもの
4.1上肢の用を全廃したもの
5.1下肢の用を全廃したもの
6.10趾を失ったもの
第6級1.両眼の視力が0.1以下になったもの
2.咀嚼又は言語の機能に著しい障害を残すもの
3.両耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になったもの
3-2.1耳を全く聾ろうし他耳の聴力が40センチメートル以上の距離では尋常の話声を解することができない程度になったもの
4.脊柱に著しい畸形又は運動障害を残すもの
5.1上肢の3大関節中の2関節の用を廃したもの
6.1下肢の3大関節中の2関節の用を廃したもの
7.1手の5指又は拇指を併せ4指を失ったもの
第7級1.1眼が失明し他眼の視力が0.6以下になったもの
2.両耳の聴力が40センチメートル以上の距離では尋常の話声を解することができない程度になったもの
2-2.1耳を全く聾ろうし他耳の聴力が1メートル以上の距離では尋常の話声を解することができない程度になったもの
3.神経系統の機能又は精神に障害を残し軽易な労務の外服することができないもの
4.削除
5.胸腹部臓器の機能に障害を残し軽易な労務の外服することができないもの
6.1手の拇指を併せ3指又は拇指以外の4指を失ったもの
7.1手の5指又は拇指を併せ4指の用を廃したもの
8.1足をリスフラン関節以上で失ったもの
9.1上肢に仮関節を残し著しい障害を残すもの
10.1下肢に仮関節を残し著しい障害を残すもの
11.10趾の用を廃したもの
12.外貌に著しい醜状を残すもの
13.両側の睾丸を失ったもの
第8級1.1眼が失明し又は1眼の視力が0.02以下になったもの
2.脊柱に運動障害を残すもの
3.1手の拇指を併せ2指又は拇指以外の3指を失ったもの
4.1手の拇指を併せ3指又は拇指以外の4指の用を廃したもの
5.1下肢を5センチメートル以上短縮したもの
6.1上肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの
7.1下肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの
8.1上肢に仮関節を残すもの
9.1下肢に仮関節を残すもの
10.1足の5趾を失ったもの
第9級1.両眼の視力が0.6以下になったもの
2.1眼の視力が0.06以下になったもの
3.両眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの
4.両眼の眼瞼に著しい欠損を残すもの
5.鼻を欠損しその機能に著しい障害を残すもの
6.咀嚼及び言語の機能に障害を残すもの
6-2.両耳の聴力が1メートル以上の距離では尋常の話声を解することができない程度になったもの
6-3.1耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になり他耳の聴力が1メートル以上の距離では尋常の話声を解することが困難である程度になったもの
7.1耳を全く聾したもの
7-2.神経系統の機能又は精神に障害を残し服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
7-3.胸腹部臓器の機能に障害を残し服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
8.1手の拇指又は拇指以外の2指を失ったもの
9.1手の拇指を併せ2指又は拇指以外の3指の用を廃したもの
10.1足の第1趾を併せ2趾以上を失ったもの
11.1足の5趾の用を廃したもの
11-2.外貌に相当程度の醜状を残すもの
12.生殖器に著しい障害を残すもの
第10級1.1眼の視力が0.1以下になったもの
1-2.正面視で複視を残すもの
2.咀嚼又は言語の機能に障害を残すもの
3.14歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
3-2.両耳の聴力が1メートル以上の距離では尋常の話声を解することが困難である程度になったもの
4.1耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になったもの
5.削除
6.1手の拇指又は拇指以外の2指の用を廃したもの
7.1下肢を3センチメートル以上短縮したもの
8.1足の第1趾又は他の4趾を失ったもの
9.1上肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの
10.1下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの
第11級1.両眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの
2.両眼の眼瞼に著しい運動障害を残すもの
3.1眼の眼瞼に著しい欠損を残すもの
3-2.10歯以上に対し歯科補てつを加えたもの
3-3.両耳の聴力が1メートル以上の距離では小声を解することができない程度になったもの
4.1耳の聴力が40センチメートル以上の距離では尋常の話声を解することができない程度になったもの
5.脊柱に畸形を残すもの
6.1手の示指、中指又は環指を失ったもの
7.削除
8.1足の第1趾を併せ2趾以上の用を廃したもの
9.胸腹部臓器の機能に障害を残し労務の遂行に相当な程度の支障があるもの
第12級1.1眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの
2.1眼の眼瞼に著しい運動障害を残すもの
3.7歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
4.1耳の耳殻の大部分を欠損したもの
5.鎖骨、胸骨、肋骨、肩胛骨又は骨盤骨に著しい畸形を残すもの
6.1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの
7.1下肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの
8.長管骨に畸形を残すもの
8-2.1手の小指を失ったもの
9.1手の示指、中指又は環指の用を廃したもの
10.1足の第2趾を失ったもの、第2趾を併せ2趾を失ったもの又は第3趾以下の3趾を失ったもの
11.1足の第1趾又は他の4趾の用を廃したもの
12.局部に頑固な神経症状を残すもの
13.削除
14.外貌に醜状を残すもの
第13級1.1眼の視力が0.6以下になったもの
2.1眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの
2-2.正面視以外で複視を残すもの
3.両眼の眼瞼の一部に欠損を残し又は睫毛禿を残すもの
3-2.5歯以上に対し歯科補てつを加えたもの
3-3.胸腹部臓器の機能に障害を残すもの
4.1手の小指の用を廃したもの
5.1手の拇指の指骨の一部を失ったもの
6.削除
7.削除
8.1下肢を1センチメートル以上短縮したもの
9.1足の第3趾以下の1趾又は2趾を失ったもの
10.1足の第2趾の用を廃したもの、第2趾を併せ2趾の用を廃したもの又は第3趾以下の3趾の用を廃したもの
第14級1.1眼の眼瞼の一部に欠損を残し又は睫毛禿を残すもの
2.3歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
2-2.1耳の聴力が1メートル以上の距離では小声を解することができない程度になったもの
3.上肢の露出面に手掌面大の醜痕を残すもの
4.下肢の露出面に手掌面大の醜痕を残すもの
5.削除
6.1手の拇指以外の指骨の一部を失ったもの
7.1手の拇指以外の指の末関節を屈伸することができなくなったもの
8.1足の第3趾以下の1趾又は2趾の用を廃したもの
9.局部に神経症状を残すもの
サブコンテンツ

売れ筋ランキング

このページの先頭へ