通勤災害の定義

通勤とは、労働者が就業に関し、住居と就業場所の間の往復、厚生労働省令で定める就業場所から他の就業場所への移動、住居と就業場所との往復に先行し、または後続する住居間の移動を、合理的な経路及び方法で行うことをいい、業務の性質を有するものを除くものとされています。

次の労災保険上の通勤要件を満たしたものが通勤災害と認められます。

  1. 通勤によること
  2. 就業関連性があること
  3. 次のいずれかに該当する移動であること
    • 住居と就業場所との間の往復
    • 厚生労働省令で定める就業場所から他の就業場所への移動
    • 住居と就業場所との往復に先行し、または後続する住居間の移動
  4. 合理的な経路及び方法であること
  5. 業務の性質を有していないこと

住居と就業場所との間の往復

住居とは、労働者が居住して日常生活の用に供している家屋等の場所を言いますが、ストライキ、台風などのために臨時に使用するホテル等も居住場所の一時的移動とみなされ、そこからの通勤も通勤災害の対象となります。

就業場所とは、業務を開始しまたは終了する場所をいい、会議、研修などの会場や会社が行う行事の現場なども含まれます。

厚生労働省令で定める就業場所から他の就業場所への移動

他の就業場所

厚生労働省令で定める就業場所とは、次の場所を指します。

  1. 労災保険の適用事業及び労災保険に係る保険関係が成立している暫定任意適用事業に係る就業場所
  2. 特別加入者(通勤災害が適用されない者を除く)に係る就業場所
  3. その他1.2.に類する就業場所

住居と就業場所との往復に先行し、または後続する住居間の移動

他の住居

厚生労働省で定める要件は次の通りです。

  1. 転任に伴い、当該転任の直前の住居と就業の場所との間を日々往復することが当該往復の距離等を考慮して困難となったため住居を移転した労働者であって、次のいずれかに掲げるやむを得ない事情により、当該転任の直前の住居に居住している配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。以下同じ。)と別居することとなったもの
    • イ 配偶者が、要介護状態(負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態をいう。以下この条及び次条において同じ。)にある労働者又は配偶者の父母又は同居の親族を介護すること
    • ロ 配偶者が、学校教育法第1条に規定する学校、同法第124条に規定する専修学校若しくは同法第134条第1項に規定する各種学校(以下この条において「学校等」という。)に在学し、又は職業能力開発促進法第15条の6第3項に規定する公共職業能力開発施設の行う職業訓練(職業能力開発総合大学校において行われるものを含む。以下この条及び次条において「職業訓練」という。)を受けている同居の子(18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある子に限る。)を養育すること
    • ハ 配偶者が、引き続き就業すること
    • ニ 配偶者が、労働者又は配偶者の所有に係る住宅を管理するため、引き続き当該住宅に居住すること
    • ホ その他配偶者が労働者と同居できないと認められるイからニまでに類する事情
  2. 転任に伴い、当該転任の直前の住居と就業の場所との間を日々往復することが当該往復の距離等を考慮して困難となったため住居を移転した労働者であつて、次のいずれかに掲げるやむを得ない事情により、当該転任の直前の住居に居住している子と別居することとなったもの(配偶者がないものに限る。)
    • イ 当該子が要介護状態にあり、引き続き当該転任の直前まで日常生活を営んでいた地域において介護を受けなければならないこと
    • ロ 当該子(18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある子に限る。)が学校等に在学し、又は職業訓練を受けていること
    • ハ その他当該子が労働者と同居できないと認められるイ又はロに類する事情
  3. 転任に伴い、当該転任の直前の住居と就業の場所との間を日々往復することが当該往復の距離等を考慮して困難となったため住居を移転した労働者であって、次のいずれかに掲げるやむを得ない事情により、当該転任の直前の住居に居住している当該労働者の父母又は親族(要介護状態にあり、かつ、当該労働者が介護していた父母又は親族に限る。)と別居することとなったもの(配偶者及び子がないものに限る。)
    • イ 当該父母又は親族が、引き続き当該転任の直前まで日常生活を営んでいた地域において介護を受けなければならないこと
    • ロ 当該父母又は親族が労働者と同居できないと認められるイに類する事情
  4. その他前3号に類する労働者

合理的な経路および方法

合理的な経路とは、社会通念上一般に通行するであろうと考えられる経路を言います。その経路は、乗車定期券に表示され、あるいは会社に届け出ているような鉄道、バス等の通常利用する経路およびこれに代替することが考えられる経路等が合理的な経路と言えます。

合理的な方法とは、社旗通念上一般に是認されるであろうと考えられる手段を言います。つまり、会社に届け出ている通勤方法とは異なったとしてもそれが通常の労働者が用いる方法であれば問題はありません。

業務の性質を有するものでない

例えば、出張するために普段通勤で利用している駅に向かっている途中で事故にあった場合は、業務の性質を有しているため業務災害となります。

通勤途中で経路を逸脱したり移動を中断したら

逸脱・中断

原則として、移動の途中で経路を逸脱し、または中断した場合は、逸脱、中断の間、およびその後の移動は通勤としては認められません。ただし、その逸脱や中断が日常生活上必要な行為であって次に掲げるものをやむを得ない事由により行うための最小限度のものである場合は、逸脱及び中断の間を除いて通勤とみなされます。

  1. 日用品の購入その他これに準ずる行為
  2. 職業訓練、学校教育法第1条に規定する学校において行われる教育その他これらに準ずる教育訓練であつて職業能力の開発向上に資するものを受ける行為
  3. 選挙権の行使その他これに準ずる行為
  4. 病院又は診療所において診察又は治療を受けることその他これに準ずる行為
  5. 要介護状態にある配偶者、子、父母、配偶者の父母並びに同居し、かつ、扶養している孫、祖父母及び兄弟姉妹の介護(継続的に又は反復して行われるものに限る。)
サブコンテンツ

売れ筋ランキング

このページの先頭へ